大納言横丁

俺のブログ

友人

小中高と同じ学校に通っていて、親友と言えるほどではないけれど、今でも交友の続いている友人がいる。

 

昔から人当たりのいい快活な人間性で付き合いやすかった彼なのだが、どうもおかしなところがあった。

それは、彼本人に問題があるというよりは、彼の家庭、もっと言うと、彼の両親の教育に妙なところがあったのだ。彼の両親や、歳の離れた弟とも面識はあったし、一見おかしなところはない家族だったのだが、彼と過ごす中で見える彼への教育だけが奇妙なズレを見せていたのだ。

 

例えば、会話の流れでオムライスが話題に登ったときに、どうも話が噛み合わないと思って詳しく聞くと、彼が家庭で出されてきた「オムライス」は、米にキャベツの千切りと鶏肉を入れて炒めただけの、炒飯もどきのようなものだったらしい。また、学校に雑巾を持ってこないといけない時に、彼だけ真新しいうさぎのぬいぐるみを持ってきたこともある。

 

これだけなら何か金銭的な事情があると考えるかもしれないが、何度か遊びに行った彼の家では少なくともそのような様子は見て取れなかった。それに、食事の際に絶対に首を左に傾けながら食べるように、と教えられていたり、扉を開ける際にいつも真上を見ていたり、両親の奇妙な教えが影響を及ぼしているのは、小学生の自分でも簡単に見て取れた。

時折そのようなことがあったので、彼自身居心地の悪そうな、過ごしにくそうな顔をすることはあったが、それでも、彼自身の朗らかな性格から友人は少なくなく、学校生活も概ね問題なく過ごせていた。

 

私が彼と出会ったのは小学生の4年生で、その頃には既に彼のズレた部分は表出していたのが、これが中学校に入って、2年も経つといつの間にやら顔を覗かせることはなくなっていた。しばらくは聞いていいものかと思っていたので、そのことに積極的に触れることはしなかったが、高校生になってから一度、「そういえば、お前昔親に変なしつけとかされてなかった?」と聞いてみたことがあった。

内心ドキドキしながらの問いだったのだが、彼自身はあっけらかんと、

「ああ、なんか俺はうまくいかなかったからもうよくなったんだって。今までごめんね〜ってサラッと謝られたよ」

と、何でもなかった事のように答えた。

本人がそんな様子なので、自分もそれ以降その事を意識することはなくなったまま、現在まで彼とは細々と連絡を取り合っている。

今度地元に帰る際、久しぶりに彼と会う約束をしている。彼自身も実家を出てからしばらく会っていないという彼の弟とも会えるらしいので、楽しみにしていよう。